【書評】『幸せになる勇気』|能動的に他者を尊敬する




悩む人

前作『嫌われる勇気』を読んだけど、実際に生活において実践するのは難しいよなぁ。

このような方はぜひ、続編である『幸せになる勇気』も読んでみてください。

前作『嫌われる勇気』はこちらです。

『幸せになる勇気』はアドラー心理学の行動指針

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前作『嫌われる勇気』はアドラー心理学の思想を知るための一冊でした。

対して本作『幸せになる勇気』はいわゆる実践版です。

『嫌われる勇気』を読んだ方ならお分かりのことと思いますが、理屈は理解できても、実社会でその思想を実践することが、何より難しいことが分かります。

前作同様に「青年と哲人の対話形式」でストーリーが進められます。

『嫌われる勇気』から3年の歳月が流れ、アドラーの思想に感化され希望を持って大きな一歩を踏み出したはずの「青年」がアドラーの思想に疑問と失望の念を持って「哲人」の前に表れます。

『嫌われる勇気』で語られたアドラーの思想を、我々は具体的にどのように行動に示せば良いのかが書かれている行動指針となる本が『幸せになる勇気』です。

『幸せになる勇気』著者紹介

岸見一郎さん
  • 哲学者
  • 京都大大学院文学研究科博士課程満期退学
  • 専門の哲学(西洋古代哲学、特にプラトン哲学)と並行して、1989年からアドラー心理学を研究
  • 日本アドラー心理学会認定カウンセラー・顧問
  • 世界各国でベストセラーとなり、アドラー心理学の新しい古典となった前作『嫌われる勇気』執筆後は、アドラーが生前そうであったように、世界をより善いところとするため、国内外で多くの「青年」に対して精力的に講演・カウンセリング活動を行う
  • 訳書にアドラーの『人生の意味の心理学』『個人心理学講義』
  • 著書に『アドラー心理学入門』など。本書では原案を担当
古賀史健さん
  • 株式会社バトンズ代表
  • ライター
  • 書籍のライティング(聞き書きスタイルの執筆)を専門とし、ビジネス書やノンフィクションの分野で数多くのベストセラーを手掛ける
  • 2014年「ビジネス書ライターという存在に光を当て、その地位を大きく向上させた」として、ビジネス書大賞2014・審査員特別賞受賞
  • 前作『嫌われる勇気』刊行後、アドラー心理学の理論と実践の間で思い悩み、ふたたび京都の岸見一郎氏を訪ねる。数十時間にわたる議論を重ねた後、「勇気の二部作」完結編としての本書をまとめ上げた
  • 単著に『20歳の自分に受けさせたい文章講義』

『幸せになる勇気』著書情報

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『幸せになる勇気』著書情報
  • 書籍名:『幸せになる勇気』自己啓発の源流「アドラー」の教えⅡ
  • 著者名:岸見一郎さん/古賀史健さん
  • 出版社:ダイアモンド社
  • 発行日:2016年2月25日(プリント版第一刷発行)

『幸せになる勇気』の学びと要約

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教育とは「自立」に向けた援助を目標としたもの

青年はアドラーの思想に掲げられた「ほめてはいけない、叱ってもいけない」を教育現場で実践して、教室が荒れてしまったと訴えます。

アドラーの思想はあまりにナイーヴすぎる。空虚な理想論だと噛み付きます。

対して哲人は「教育とは「介入」ではなく、自立に向けた「援助」である」とします。

「自立」という目標を置き去りにしてしまったら、教育やカウンセリング、あるいは仕事の指導も、すぐさま強要へと変貌します。

教育者・指導者は肝に銘じなければいけません。

強制的に「介入」するのではなく、自立を促す「援助」を目標にすべきです。

それでは、具体的に教育の現場でどのような一歩を踏み出せばいいのでしょうか?

尊敬とは「ありのままにその人を見る」こと

教育の目標を「自立に向けた援助」としたとき、明確な指針があると哲人は言います。

それは「まずは教育者自信が『子どもたち』に対して尊敬の念を持つ」ということです。

役割として「教える側」に立っている人間が、「教えられる側」に立つ人間のことを敬う。

尊敬なきところに良好な対人関係は生まれず、良好な関係なくして言葉を届けることはできません。

『幸せになる勇気』|No.462/3673

教育現場のみならず、親子であれ、会社での上司・部下であれ、あらゆる対人関係でも同様に考えられ、ありとあらゆる他者を尊敬することの大切さを訴えます。

尊敬とは「ありのままの他者を見ること」とし、他者が「他者であること」に価値を置き、自分の価値観を他人におしつけないこと。

他者の価値観を無視して自分の意見を押し通したり、態度を矯正しようとしたりする行動は他者の尊厳を無視する尊敬の念のない行動とされます。

「自立に向けた援助」を目標とするとき、他者の価値観を理解すべくこちらから歩み寄って、成長を援助することが大切であると述べています。

他者を尊敬するために「他者の関心事」に関心を寄せる

他者を否定してはいけない。強要も駄目。無条件に尊重し、尊敬するなんて…

そんなの難しすぎますよ。アドラーさん…

具体的な第一歩として本書では「他者の関心事に関心を寄せよ」としています。

例えば子どもが親の目から見て低俗だと感じる遊びをしていたとして、

  1. まずはその遊びがどんなものかを理解する。
  2. 自分もやってみて、場合によっては一緒に遊ぶ
  3. 「遊んであげる」のではなく、自分自身がそれを楽しむ

どうなるのか?

  • 子どもは自分が認められていることを実感する
  • 子ども扱いされていないことを実感する
  • ひとりの人間として「尊敬」されていることを実感する

これは子ども相手だけではなく、尊敬の具体的な第一歩としてあらゆる対人関係で求められる、としています。

他者の目で見て、他者の耳で聞き、他者の心で感じること

それでも共感できない、歩み寄れないと感じる方は、「もしも同じ種類の心と人生を持っていたら」と考えるべきであると本書では語られています。

自分の感覚で、目や耳、心で感じるのではなく、自分が相手と同じ年齢で、同じ環境で暮らし、同じ仲間に囲まれ、同じ興味・関心を持っていたらと考える。

これこそが「共感」であり、他者に寄り添うときの必須な技術であるとしています。

『幸せになる勇気』を読んでの感想

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もしもアドラーの思想に触れ、即座に感激し、「生きることが楽になった」と言っている人 がいれば、その人はアドラーを大きく誤解しています。

アドラーがわれわれに要求することの内実を理解すれば、その厳しさに身を震わせること になるはずですから。

『幸せになる勇気』|No.102/3673

本書にこのようにある通り、アドラーの思想を理解し、実践することは簡単なことではありません。

私も「勇気の二部作」を2冊とも読みましたが、分かったような気がして満足して、行動に移すまでの壁を感じました。あまりに厳しく難しいのです。

だからこそ、今身近にできることとして「他者を尊敬する」ことを自ら能動的に行う。

それによって他者をコントロールしようと考えない。「課題の分離」を行う。

まず第一歩として、これを実践していきたいと感じています。

『幸せになる勇気』書評 まとめ

✅まとめ
  • 教育とは「介入」ではなく、自立に向けた「援助」である
  • まずは教育者自信が『子どもたち』に対して尊敬の念を持つべき
  • 尊敬とは「ありのままの他者を見ること」
  • 他者が「他者であること」に価値を置き、自分の価値観を他人におしつけないこと
  • 尊敬の第一歩は「他者の関心事」に関心を寄せること

本記事で紹介した内容は「幸せになる勇気」の教育・自立・共感のパートのみで、ごくわずか。最終的には「愛について」の議論に行き着きます。

まだ読んでいない方は、ぜひお読みください。

人生観が変わる一冊になりえる、とてもおすすめの良本です!




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